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無機塗料とは
無機塗料とは、炭素を含まない無機物(ガラスや鉱石、セラミックなど)を主成分とした塗料です。最大の特徴は、紫外線による劣化がほとんど起きない点にあります。 身近な例でいえば、陶磁器や粘土瓦も無機物に分類されます。陶磁器の食器は割れない限り長期間使用でき、粘土瓦は50年 以上の耐用年数を持ちます。こうした「長く持つ性質」を塗料に応用したものが無機塗料です。 ただし、無機物だけでは壁にしっかり付着させたり、柔軟性を持たせたりすることはできません。そのため、実際の製品では少量の有機物を加えて「無機有機ハイブリッド塗料」として作られています。 無機塗料の耐用年数は約20〜25年 です。一般的なシリコン塗料の寿命が10〜13年 とされているため、ほぼ2倍に相当します。紫外線や雨水といった外壁を劣化させる要因にも強く、長期間にわたって建物を守ってくれる塗料といえます。
有機塗料との違い
有機塗料とは、アクリルやウレタン、シリコン、フッ素など炭素を含む樹脂を主成分とする塗料です。 外壁塗装に広く使われており、もっとも一般的な種類といえます。炭素は多くの物質と結びつきやすい性質を持ちますが、その結びつきは壊れやすいため、紫外線の影響を強く受けます。その結果、有機塗料は時間の経過とともに劣化が進みやすくなります。 一方で、無機塗料の主成分は炭素を含まない無機物です。紫外線によって分解されることがないため、劣化がほとんど起きません。 イメージしやすい例としてはガラスが挙げられます。雨や日光にさらされてもガラスが変質しないのと同じ仕組みで、無機塗料も長期間にわたって安定した性能を維持できます。 ただし、無機塗料にも注意すべき点があります。実際の製品は無機物と有機物を組み合わせた「無機有機ハイブリッド塗料」として作られており、配合割合に明確な基準はありません。 有機物の比率が高い場合、本来期待される耐久性や性能が十分に発揮されない可能性があります。 こちらの記事では、外壁塗装の種類について解説しています。 選び方のポイントも取り上げているため、
ぜひあわせて外壁塗装に使う塗料9種類の特徴比較!プロが教える後悔しない選び方 をご覧ください。
外壁塗装に無機塗料を用いるメリット

無機塗料が「次世代の塗料」と呼ばれるのは、その性能の高さが理由です。ここからは、無機塗料を選んだときに得られる具体的なメリットを順に紹介します。 耐候性の高さ、カビやコケへの強さ、防汚性、さらに不燃性まで、日常の暮らしに直結するポイントを分かりやすく見ていきましょう。
耐候性が高い
無機塗料の最大のメリットは、圧倒的に優れた耐候性にあります。紫外線に強い無機成分を主成分としているため、フッ素塗料を上回り20〜25年 もの長期間にわたり外壁を守り続けることができます。 日本ペイントが実施した促進耐候性試験では、屋外での約10年相当となる3000時間の実験において、無機塗料は95%以上 の光沢保持率を記録しました 。この数値は、ほかの塗料ではなかなか実現できないレベルです。 こうした高い耐候性によって、新築時の美しい外観を長期間にわたり維持できます。その結果、塗替えの頻度を減らすことができ、手間やコストの大幅削減につながります。 出典:日本ペイント「パーフェクトシリーズ」(https://www.nipponpaint.co.jp/images/products/feature/perfect/prd_213b.pdf?utm_source=chatgpt.com)
カビ・コケが発生しにくい
無機塗料は、有機物の含有量がごくわずかです。有機物はカビやコケ、藻の栄養源となるため、それが少ない環境では微生物が繁殖しにくくなります。 カビやコケは見た目を損なうだけでなく、放置すると外壁材に深刻なダメージを与える可能性があります。無機塗料を用いることで、このようなリスクを大幅に減らすことができます。 とくに湿気が多い地域や、日当たりの悪い場所に建つ住宅では効果を実感しやすくなります。外壁の美しさを長く保ちたい方にとって、無機塗料は大きな安心につながります。
低汚染性と防汚性に優れている
無機塗料の大きな特長のひとつに「親水性」があります。親水性とは水になじみやすい性質のことで、この働きによって塗膜表面に付着した汚れを雨水が自然に洗い流します。いわゆる「セルフクリーニング効果」が期待できるのです。 加えて、無機塗料は静電気が発生しにくいという利点もあります。静電気が起きにくいと、空気中のホコリやチリが外壁に付着しにくくなります。そのため、白っぽい外壁や排気ガスの多い道路沿いに建つ住宅でも、きれいな状態を保ちやすくなります。
不燃性がある
無機塗料は主成分が無機物であるため、燃えにくい性質を持っています。完全に燃えないわけではありませんが、有機塗料と比べると火災時の延焼リスクを大幅に抑えることができます。 たとえば、外壁に火が移った場合でも、無機塗料を使っていると燃え広がりにくく、被害を最小限に抑えられる可能性が高まります。とくに住宅が密集している地域や、火の粉が飛んできやすい環境では、この特性が安心材料となります。
無機塗料のデメリット
ここまで紹介してきたように、無機塗料には高い耐久性や防汚性など、魅力的なメリットが数多くあります。とはいえ、どんなに優れた塗料であっても弱点がまったくないわけではありません。 無機塗料も例外ではなく、実際に施工を検討する際にはデメリットを理解しておく必要があります。無機塗料を選ぶ際に気をつけたい、具体的なデメリットについて確認していきましょう。
ひび割れしやすい
無機塗料の塗膜は非常に硬く、柔軟性に乏しいという特徴があります。そのため建物がわずかに動いたり、下地にひび割れが生じたりすると、それに追従できず塗膜自体にひび割れが起きる可能性があります。 とくにモルタル外壁や木部のように膨張や収縮が大きい素材では、この弱点が表れやすくなります。ひび割れが広がれば外観が損なわれるだけでなく、そこから雨水が侵入して建物にダメージを与える恐れもあります。 ただし、近年では弾性を持たせたタイプの無機塗料も登場しており、こうした弱点を補う製品が少しずつ増えています。採用する際には、施工業者に弾性タイプの有無や適した外壁材かどうかを確認すると安心です。
ツヤが消せない
無機塗料には「完全なツヤ消しが難しい」という弱点があります。ツヤを抑えるために添加剤を加えると、塗膜の性能が低下したり、塗りムラが発生しやすくなったりする恐れがあるためです。 その結果、3分ツヤや5分ツヤといったある程度の調整は可能ですが、完全なマット仕上げを実現するのは技術的に難しいとされています。 外壁の印象はツヤの有無によって大きく変わります。落ち着いた質感を求める方にとっては、この点が無機塗料を選ぶ際のデメリットになります 。希望する仕上がりを重視する場合は、施工前に実際のサンプルで確認しておくことが大切です。
塗れない素材や箇所がある
無機塗料は塗膜が硬いため、伸縮が大きい木部や屋根材には適していません。建材が膨張や収縮を繰り返すと、無機塗料の硬い塗膜がその動きに追従できず、ひび割れが発生しやすくなります。シーリング部分でも同様に、可動性に対応しきれず割れが起こる可能性があります。 さらに注意が必要なのが「再塗装の難しさ」です。無機塗料は汚れを弾く性質を持っているため、その上から新しい塗料を重ねても密着しにくく、剥がれやすいという課題があります。再塗装を行う場合は、専用の下塗り材を使用するなどの工夫が必要です。 このように、素材や施工箇所によっては無機塗料が適さないケースがあるため、事前に施工業者へ相談して確認しておくことが重要です。
価格がほかの塗料より高め
無機塗料は、ほかの塗料と比べると初期費用が高額になる傾向があります。平米単価ではシリコン塗料の約2倍 に達することもあります。 代表的な塗料の種類別の相場は次のとおりです。 ● シリコン塗料:2,500~3,500円/㎡(耐用年数10~13年) ● フッ素塗料:3,500~5,000円/㎡(耐用年数15~20年) ● 無機塗料:4,000~5,500円 /㎡(耐用年数20~25年) このように無機塗料は初期費用が高めですが、耐用年数が長いため、長期的に見れば塗替え回数を減らすことができ、結果としてコストパフォーマンスがよい選択といえます。
無機塗料に向いている方の特徴
無機塗料には優れたメリットが多い一方で、価格や施工の難しさといったデメリットもあります。では、実際にどんな方に向いているのでしょうか。 ここでは、無機塗料がとくにおすすめできるケースを紹介します。
外観の美観を長く維持したい
無機塗料は耐候性・低汚染性・親水性に優れているため、外壁の美しい状態を長期間にわたり保つことができます。紫外線や雨風の影響を受けにくく、汚れも自然に落ちやすいためです。 その結果、新築時のデザインをできるだけ長く維持したい方や、外壁の掃除やメンテナンスにかかる手間を減らしたい方にとくに向いています。見た目の美しさを重視する方にとって、無機塗料は大きな魅力を持つ選択肢となります。
外壁にカビやコケが生えやすい
住宅の周辺環境によっては、外壁にカビやコケが生えやすくなります。たとえば、湿気が多い地域・日当たりが悪い場所・水辺が近い立地などです。このような条件下では、無機塗料を選ぶことでカビやコケの発生を抑えやすくなります。 ただし、無機塗料を使用しても完全にカビやコケを防げるわけではありません。定期的な点検やメンテナンスを行うことで、効果をより長く維持できます。環境的にリスクが高い住宅ほど、無機塗料のメリットを実感しやすいといえるでしょう。
費用が高くても問題ない
無機塗料は初期費用が高額ですが、その分だけ長寿命で、結果的にコストパフォーマンスに優れています。耐用年数が20〜25年と長いため、塗替えの回数を減らせる点は大きなメリットです。 そのため、予算にある程度の余裕があり、長期的な視点で外壁メンテナンスを計画できる方に向いています。短期的な費用の安さよりも、将来的な維持コストを抑えたい方にとって、無機塗料は安心して選べる選択肢といえます。
無機塗料の選び方
無機塗料とひと口にいっても、製品により性能や特徴はさまざまです。耐用年数や仕上がりの質感、さらには建物の立地条件や予算によって、最適な選択肢は変わってきます。 ここでは、無機塗料を選ぶ際にチェックしておきたいポイントを解説します。
信頼できるメーカー・製品を選ぶ
無機塗料を選ぶ際は、信頼できる大手メーカーの製品を選ぶことが重要です。大手メーカーは、製品情報や性能試験の結果を公開しており、品質に対する信頼性が高いといえます。 「30年以上持つ」といった過度に誇張された謳い文句を提示する業者には注意が必要です。現在、30年以上の保証をしている塗料は存在しません。
仕上がり
無機塗料は一般的にツヤのある仕上がりが多く、長期間にわたって美しい光沢を保つことができます。外壁の見た目を華やかにしたい方や、明るい印象を長く維持したい方に適しています。 また、色選びの面でもメリットがあります。無機塗料は色持ち性能に優れているため、退色しにくく、お気に入りの色を長期間楽しむことが可能です。外観デザインを重視する方にとって、安心して選べる塗料といえます。
建物の立地や環境
建物が建っている場所や周囲の環境によって、選ぶべき塗料のポイントは変わります。具体的には次のような点が挙げられます。 ● 交通量の多い道路沿い:排気ガスやホコリが付着しやすいため、防汚性能を重視する ● 日当たりがよい場所:紫外線の影響を受けやすいため、耐候性の高さを優先する ● 湿気が多い地域や水辺に近い立地:カビやコケが発生しやすいため、セルフクリーニング効果が期待できる親水性が役立つ 無機塗料は、防汚性・対候性・親水性を兼ね備えたバランスのよい塗料といえます。
職人の知識・技術・実績
無機塗料の性能を最大限に引き出すためには、確かな技術力と豊富な施工実績を持つ業者を選ぶことが不可欠です。 無機塗料は扱いが難しく、職人の腕で効果に大きな差が出ます。業者を選ぶ際は、無機塗料での施工実績、保有資格、認定施工店としての登録状況などを確認しましょう。
まとめ
無機塗料は、無機物を主成分としているため、20〜25年の耐用年数を持つ高い耐候性や、カビやコケが発生しにくい性質、汚れに強い低汚染性、さらに不燃性といった優れた特性を備えています。そのため「次世代の塗料」として注目されています。 一方で、価格が高いことや塗膜が硬いためにひび割れやすいこと、完全なツヤ消しが難しいこと、再塗装がしにくいこと、そして施工には職人の技術力が欠かせないことなどのデメリットもあります。これらの特徴を理解したうえで検討することが、後悔のない選択につながります。 外壁塗装を成功させるためには、信頼できる専門業者に相談することが欠かせません。 アイテックでは、一級塗装技能士の資格を持つ職人が自社で施工を管理し、安心できる品質を提供しています。さらに認定施工店として豊富な施工実績を持ち、長期的な視点でリフォームを提案しています。 外壁の劣化でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 アイテックでは、丁寧な対応ときめ細やかなサポート体制でお客様に選ばれています。 ぜひお気軽にご相談ください。
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