目次
外壁塗装に用いる塗料の種類|それぞれの特徴と物理的な耐用年数
外壁塗装における「物理的な耐用年数」とは、塗装を行ってから次の塗り替えが必要になるまでの実際の期間を指します。これは建物を守るうえでの「塗料の寿命」ともいえるものです。 この期間は、使用する塗料の種類によって大きく異なります。 ここでは、塗料の種類と物理的な耐用年数について見ていきましょう。 ただし、ここで示す年数はあくまで目安です。日当たりや湿度、立地条件など、実際の環境によって耐久性は大きく変わる点に注意が必要です。
アクリル塗料
アクリル樹脂を主成分とする塗料で、耐用年数はおよそ3〜8年 です。価格が手ごろなのが大きな魅力ですが、耐久性はやや低めです。そのため、業者によっては外壁全体ではなく、付帯部分への使用にとどめることもあります。 また、発色がよく、仕上がりが鮮やかな点が特徴ですが、劣化が早く塗り替えの頻度が高くなるため、長い目で見るとメンテナンス費用がかさみやすい傾向があります。
ピュアアクリル塗料
アクリル成分を100%使用した高純度の塗料で、一般的なアクリル塗料とは性能が大きく異なります。耐用年数はおよそ10〜15年 です。 弾性と防水性に優れており、ひび割れに強く、建物の動きにも柔軟に対応できます。コストはやや高めですが、塗り替えの回数を減らせるため、長期的にはメンテナンス費用の削減につながる場合があります。
ウレタン塗料
ウレタン樹脂を主成分とする塗料で、耐用年数はおよそ5〜10年 です。伸縮性に優れ、光沢のある仕上がりが特徴です。 主に付帯部分の塗装に向いており、外壁全体に使う場合は、より耐久性の高いシリコン塗料などが一般的です。かつては外壁塗装の主流でしたが、現在は高性能な塗料が普及したことから、用途が限られるようになっています。
シリコン塗料
シリコン樹脂を主成分とする塗料で、耐用年数はおよそ7〜15年 です。コストと耐久性のバランスがよく、広く使われている人気の塗料です。 汚れが付きにくく、防水性にも優れています。ただし、シリコン樹脂の含有量によって性能が大きく変わるため、塗料の品質には業者ごとの違いが出やすい点に注意が必要です。信頼できる業者を選ぶことが、長持ちする外壁をつくるための大切なポイントです。
ラジカル塗料
2012年に登場した比較的新しい塗料で、耐用年数はおよそ12〜16年 です。ラジカル制御技術によって、塗膜が粉状になる「チョーキング現象」を起こしにくいのが最大の特徴です。 チョーキングとは、塗料の表面が劣化して白い粉のようになる現象のことを指します。ラジカル塗料には、その劣化を抑える成分が組み込まれています。 まだ登場からの年数が浅いため、製品数や長期的な実績データは多くありませんが、耐久性とコストパフォーマンスのよさから、今後の普及が期待されています。
フッ素塗料
フッ素樹脂を主成分とする塗料で、耐用年数はおよそ15〜20年 と長く、非常に高い耐久性を持ちます。紫外線や酸性雨に強く、汚れがつきにくいため、美しい外観を長く保てるのが特徴です。 長期的にメンテナンスコストを抑えたい方には、とくに適した塗料です。ただし、塗膜が硬いため、外壁の種類によってはひび割れが起きやすい場合があります。施工前には、専門業者による診断を受けて、建物との相性を確認することが大切です。
光触媒
酸化チタンを原料とする塗料で、耐用年数はおよそ15〜20年 です。太陽光と雨水の力を利用して汚れを分解・洗い流す「セルフクリーニング機能」を備えており、非常に画期的な性能を持っています。 メンテナンスの手間を大きく減らせるのが魅力ですが、紫外線が届かない場所では効果が十分に発揮されない点が課題です。また、施工が難しく失敗のリスクが高いことや、製品の種類が限られていることから、現時点では主流の塗料とはいえません。
無機塗料
無機物を主成分とする塗料で、耐用年数は20〜25年 と最長クラスです。紫外線で劣化しにくく、汚れも付きにくいため、長期の費用対効果に優れています。 塗り替えの回数を減らせるため、生涯のメンテナンスコストを大きく抑えられます。従来は塗膜が硬くひび割れしやすい課題がありましたが、最近は微弾性の無機塗料が登場し「グランセラ®トップ 2液水性」のようにリスクを抑えた製品も増えています。 初期費用は高めですが、20年以上にわたり外壁を保護できるため、次世代への住まいの引き継ぎを考える方にはとくにおすすめです。
外壁塗装の物理的な耐用年数はあくまで目安
ここまで紹介した塗料の耐用年数は、メーカーが試験機を使って算出した目安の数値です。実際の建物での実証データではないため、どうしても誤差が生じます。 実際の寿命は、立地条件や気候、日当たり、塩害の有無などによって大きく変わります。たとえば、南向きの壁は紫外線の影響を強く受けて劣化が早く、北側は苔やカビが発生しやすい傾向があります。 海沿いでは塩害によって金属部分の腐食が進みやすく、寒冷地では凍結と融解の繰り返しで塗膜が傷むこともあります。同じ塗料を使っても、建物の環境次第で寿命は大きく変わるのです。 また、施工品質も耐用年数を左右します。下地処理が不十分だったり、乾燥時間を守らずに塗られたりすると、本来の性能を発揮できず、数年で塗膜が剥がれてしまうこともあります。 正確な判断には、専門家による診断が欠かせません。長期的なメンテナンス計画を立てるうえでも、まずはプロに状態を見てもらうことをおすすめします。 こちらの記事では、外壁塗装について解説しています。 塗料の特徴比較や後悔しない選び方も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
外壁材の種類と耐用年数
外壁塗装を考えるときは、塗料の耐用年数だけでなく、外壁材そのものの寿命も理解しておくことが大切です。一般的に、外壁材の耐用年数は塗料よりも長い場合が多いですが、塗膜のメンテナンスを怠ると、外壁材自体の寿命を大きく縮めてしまいます。 外壁を長持ちさせるためには、10〜15年ごとに塗装メンテナンスを行うことが重要 で、定期的な塗り替えが、建物全体の耐久性を守るための有効な手段になります。
モルタル壁
セメント・砂・水を混ぜて作られる外壁材で、耐用年数はおよそ30年 です。継ぎ目のない一体感のある仕上がりと、高い防火性能が特徴です。 一方で、ひび割れ(クラック)が発生しやすいという弱点があります。クラックから雨水が入り込むと、建物内部を傷めてしまい、修繕費が高額になることもあります。そのため、防水の役割を持つ塗装(塗膜)のメンテナンスがとても重要です。
窯業系サイディング
セメントと繊維質を混ぜ、板状に成形して焼き上げた外壁材で、耐用年数はおよそ30〜40年 です。新築住宅の約8割で使われており、日本で最も普及している外壁材です。 デザインの種類が豊富で、初期コストを抑えられるのが大きな魅力です。ただし、シーリング(コーキング)が外壁本体より先に劣化しやすいため、塗装と同時に打ち替えや増し打ちが欠かせません。 なお、シーリングが劣化すると、そこから雨水が侵入し、外壁材の劣化を早めてしまうおそれがあります。
金属系サイディング
ガルバリウム鋼板やアルミニウムなどの金属を使った外壁材で、耐用年数はおよそ30〜40年 です。非常に軽く、耐震性に優れているほか、凍害にも強いという特徴があります。 一方で、衝撃に弱く、へこみや傷がつきやすい点には注意が必要です。塗装メンテナンスに加えて、将来的には外壁材の張り替えも視野に入れることで、建物を長く良好な状態に保つことができます。
ALC壁
軽量気泡コンクリートを使った外壁材で、耐用年数はおよそ40〜60年 と非常に長く、高い耐久性を持ちます。断熱性能にも優れており、冷暖房費の節約など省エネ効果が期待できます。 ただし、吸水性が高いため、塗装による防水保護がとくに重要です。塗膜が劣化すると水分を吸収し、内部にダメージを与えるおそれがあります。断熱性という大きな利点を活かすためにも、定期的な塗装メンテナンスを欠かさないことが大切です。
コンクリート壁
鉄筋コンクリート造の建物に使われる外壁材で、耐用年数はおよそ60〜100年 と非常に長く、もっとも高い耐久性を誇ります。耐火性にも優れ、構造的にも安定した外壁材です。 ただし、塗装が劣化するとコンクリートが中性化し、内部の鉄筋が腐食するおそれがあります。建物の「健康」を保つためにも、塗装による保護は欠かせません。長期的な安全性を守るため、定期的なメンテナンスを行うことが必要になります。
外壁塗装の劣化を見極めるポイント
外壁の劣化サインを早めに見つけることで、大規模な修繕を防ぎ、メンテナンスコストを抑えることができます。次のような症状が見られたら、塗り替えの時期が近いサインです。 外壁の劣化を見極めるポイントは、主に以下の3つです。 【劣化を見極めるポイント】 ● チョーキング現象 ● クラック(ひび割れ) ● カビ・コケの発生 こちらの記事では、外壁塗装について解説しています。 塗装に適している時期や季節ごとのメリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
チョーキング現象
外壁を手で触ると白い粉が付く現象です。これは紫外線によって塗膜が劣化し、顔料が粉状になって表面に出ている状態を指します。 塗膜の防水機能が失われつつあるため、放置すると外壁材の劣化が進みます。今すぐ塗装が必要というわけではありませんが、早めに塗り替えを検討しましょう。
クラック(ひび割れ)
外壁にできるひび割れのことで、幅0.3mm未満の細いものは「ヘアクラック」、それ以上のものは「構造クラック」と呼ばれます。 クラックを放置すると雨水が侵入し、雨漏りや構造への影響が出るおそれがあります。とくに0.3mm以上のひび割れは早急な補修と塗装が必要です。
カビ・コケの発生
外壁の表面にカビやコケが繁殖している状態です。日当たりの悪い北面や湿気の多い場所で発生しやすく、塗膜の防水性能が低下しているサインでもあります。見た目の印象を損ねるだけでなく、外壁材の劣化を早める原因にもなるため、早めの対応が望まれます。 これらの症状は、外壁の健康状態を確認するためのチェックポイントです。もし気になる症状が見つかった場合は、専門業者による無料点検を活用し、正確な診断と最適なメンテナンス時期を把握しましょう。
国税庁が定める外壁塗装の法定耐用年数
外壁塗装において「法定耐用年数」という用語を耳にすることがありますが、これは税務上の概念であり、塗料の物理的な寿命とはまったく関係がない点を理解しておく必要があります。 法定耐用年数とは、国税庁が定めた税務処理上の基準であり、減価償却を行う際に使用する年数です。外壁塗装単体での法定耐用年数は定められておらず、建物本体の法定耐用年数が適用されます。 たとえば、木造住宅の店舗用/住宅用の法定耐用年数は22年、鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅用は47年です。つまり、耐用年数15年のフッ素塗料で塗装しても、木造住宅なら22年、鉄筋コンクリート造なら47年で減価償却を行うことになります。 以下に、住宅に関わる主な建物構造の法定耐用年数を示します。 【建物構造と法定耐用年数】 ● 木造・合成樹脂造:店舗用/住宅用は22年、事務所用は24年 ● 木骨モルタル造:店舗用/住宅用は20年、事務所用は22年 ● 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造:住宅用は47年、事務所用は50年 ● 金属造:肉厚が4mm超の場合は38年、3mm超4mm以下の場合は30年、3mm以下の場合は22年 これらの法定耐用年数はあくまで税務処理上の基準であり、実際の建物や塗装の寿命を示すものではありません。塗料の物理的な耐用年数と法定耐用年数を混同しないよう注意が必要です。 出典:国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf」
外壁塗装は減価償却の対象になる?
外壁塗装の費用を経理処理する際、減価償却の対象になるかどうかは、その工事が「資本的支出」に該当するか「修繕費」に該当するかによって異なります。
資本的支出なら減価償却できる
資本的支出とは、建物の資産価値を高めたり、使用可能期間を延長したりする目的の支出を指します。外壁塗装が資本的支出に該当する場合、建物の勘定科目を使って、法定耐用年数に応じて減価償却を行います。 資本的支出として認められる具体的なケースは、高耐久・高性能な塗料(無機塗料、フッ素塗料、遮熱・断熱塗料など)へのグレードアップです。建物の耐久性を向上させたり、建物の外観をよりよいデザインに変更したりする場合が該当します。 最終的な判断は、建物に新たな価値を加えたかどうかがポイントとなります。判断に迷う場合は、税理士など専門家に相談することをおすすめします。
修繕費では減価償却できない
修繕費とは、建物の原状回復や維持管理を目的とした支出を指します。外壁塗装が修繕費に該当する場合、その年の経費として一括で計上でき、減価償却は行いません。 修繕費として認められる具体的なケースは、劣化した塗装面のひび割れや剥がれ、色落ちなどを回復するための外壁塗装です。通常のメンテナンスの範囲内と認められる工事であれば、修繕費として処理できます。 修繕費で会計処理するメリットは、費用を一括で経費計上できるため、その年の税負担を軽減できる点です。資産計上を行わないため、その後の減価償却処理も必要ありません。 ただし、以下の例外規定があります。工事費用が20万円未満の場合、または3年以内の周期で行う修繕 の場合は、修繕費として一括計上が認められやすくなります。この規定を理解しておくと、税務処理の判断がしやすくなります。 出典:国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5402.htm」
外壁塗装に適用する勘定科目
外壁塗装の費用を計上する際、収益的支出か資本的支出かによって使用する勘定科目が異なります。
修繕費
収益的支出に該当する場合は「修繕費」の勘定科目を使用します。劣化した外壁の原状回復や、通常のメンテナンスに該当する工事がこれに当たります。 一括で経費計上できるため、会計処理がシンプルで、その年の税負担を軽減できます。
建物・附属設備
資本的支出に該当する場合は「建物」または「附属設備」の勘定科目を使用します。外壁塗装は一般的に建物の外壁に施すため「建物」の勘定科目を用いることが多いです。 建物の資産価値を高める工事や、耐久性を向上させる工事がこれに該当します。
減価償却費
資本的支出として「建物」や「附属設備」に計上した場合、毎期末に「減価償却費」として減価償却の処理を行います。 法定耐用年数に応じて、費用を分割して計上していく形になります。 外壁塗装の会計処理は、工事の内容や金額によって判断が分かれるため、事前に税理士に相談することで、適切な処理方法を選択できます。最終的な判断は専門家に委ねることを推奨します。
まとめ
外壁塗装の耐用年数は、塗料の種類によって3〜25年と大きな幅があります。しかし、これらはあくまでメーカーが試験環境下で算出した目安であり、実際の寿命は立地条件、気候、施工品質によって大きく左右されます。 劣化のサインとしては、チョーキング現象、クラック(ひび割れ)、カビ・コケの発生が代表的です。これらを早期に発見し、適切なタイミングでメンテナンスを行うことで、大規模な修繕を避け、長期的なコストを抑えることができます。 また、税務処理においては、物理的な耐用年数と法定耐用年数を混同しないことが重要です。減価償却を行う際は、建物本体の法定耐用年数が適用され、修繕費か資本的支出かによって会計処理の方法が異なります。 耐用年数を延ばすには、優良業者選びと適切な塗料選択が不可欠です。神奈川で施工実績地域No.1のアイテック では、自社管理施工による高品質な外壁塗装を提供しています。 さらにアイテックは、各塗料メーカーの厳しい認定制度をクリアした認定施工店です。メーカーが提供する高品質な塗料や資材を正しい施工手順で扱い、品質を長期間維持できる塗装を実現しています。 長期的な住まいの価値を守り、メンテナンスコストを最適化したい方は、ぜひアイテックの無料診断をご活用ください。専門スタッフが、お住まいの状態を正確に診断し、最適なメンテナンスプランをご提案いたします。 ※グランセラ®トップ 2液水性は日本ペイント株式会社の登録商標です。 アイテックでは、外壁塗装・屋根塗装に関する相談を受け付けております。 お困りの際にはぜひお問い合わせください。
点検(診断)・御見積は、無料ですので
大切なお家を守るために、早めの点検をお勧めいたします!!
外装リフォーム専門店のアイテックまでご相談ください!!
ご相談・お見積りは無料です。気になる症状を見つけたらお気軽にご連絡ください。