外壁塗装の見積書を見ていると「高圧洗浄」という工事項目に気づくことがあります。ただ外壁をきれいにするだけの作業に見えても、実は仕上がりと耐久性を大きく左右する重要な工程です。なぜこの作業が欠かせないのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、高圧洗浄が必要な理由、工法の種類や費用相場、作業当日の流れ、工事期間中に気をつけたい生活面の注意点まで、わかりやすく解説します。
目次
外壁塗装で高圧洗浄が必要な理由
外壁は、日々の紫外線や雨風にさらされることで、少しずつ塗膜が劣化していきます。劣化が進むと、外壁を手で触ったときに白い粉が指につくようになります。これは塗料の成分が粉状に変化する現象で、旧塗膜が劣化しているサインです。
このほかにも、コケや藻、砂ぼこり、雨だれによる黒ずみなど、さまざまな汚れが時間の経過とともに外壁へ付着していきます。
こうした汚れや古い塗膜が残ったまま新しい塗料を塗り重ねてしまうと、下地と塗料がしっかりと密着しません。たとえるなら、洗顔をせずに化粧をするようなものです。表面に汚れが残っていては、どれだけよい塗料を使っても、本来の性能を十分に発揮できません。
密着不良のまま仕上げてしまうと、施工から数年のうちに塗膜が浮いたり、剥がれたりするおそれもあります。
高圧洗浄は、こうした汚れや劣化した旧塗膜を水圧の力で洗い流し、塗料がしっかりと密着する下地をつくるための工程です。単なる掃除ではなく、塗装を長持ちさせるための土台づくりといえます。
だからこそ、外壁塗装において高圧洗浄は欠かせない作業であり、費用がかかる工程だからといって省略してよいものではありません。見積書に高圧洗浄の項目がきちんと含まれているかどうかは、施工の質を見極めるうえでも大切な確認ポイントになります。
高圧洗浄の種類
高圧洗浄には、いくつかの噴射方法があります。汚れの状態や外壁の材質にあわせて、業者が適切な方法を選ぶのが基本です。ここでは代表的な3つの工法と、洗浄だけでは落ちない汚れへの対処法を紹介します。
ストレート噴射
ストレート噴射は、水をまっすぐ一点に集中させて噴射する、もっとも基本的な洗浄方法です。壁面全体に付着した汚れやほこり、軽度のコケなどを落とす際に広く使われています。
水圧の強さを細かく調整しやすいことから、外壁を傷めるリスクが比較的少なく、多くの現場で洗浄の基本として採用されている方法です。仕上がりを左右する重要な工程であるため、丁寧に時間をかけて行われているかどうかも確認しておきたいポイントです。
トルネード噴射
トルネード噴射は、水を回転させながら噴射する方法で、ストレート噴射よりも強い洗浄力を発揮します。こびりついた頑固な汚れや、なかなか落ちない旧塗膜を除去するのに適した工法です。
ただし、威力が強いぶん、劣化がかなり進んだ外壁やもろくなった下地に使用すると、素材そのものを傷めてしまうおそれがあります。
そのため、外壁の状態を事前にしっかりと見極めたうえで、使用するかどうかを慎重に判断する必要があります。こうした判断を的確に行えるかどうかも、経験豊富で信頼できる業者を見極める材料といえるでしょう。
バイオ噴射
水だけでは落としきれないカビや藻が広がっている場合には、専用の洗浄剤をあわせて使用する方法が用いられます。洗浄剤がカビや藻の根の部分にまで作用するため、表面をこすり落とすだけでは対応しきれない汚れの再発を抑える効果が期待できます。
とくにカビや藻の発生が目立つ北側の外壁や、日当たりや風通しがよくない立地の住宅で選ばれることの多い方法です。なお、洗浄剤の成分が外壁に残ってしまうと、かえって塗料の密着不良につながる場合もあるため、仕上げの水洗いまで丁寧に行うことが求められます。
【補足】高圧洗浄で落ちない箇所にはケレン作業を行う
高圧洗浄をしても、こびりついた旧塗膜やさびなどが、すべてきれいに落ちるとは限りません。こうした箇所には、サンドペーパーやブラシなどを使って手作業でこすり落とす「ケレン」という工程を組み合わせます。高圧洗浄だけで済ませるのではなく、必要な箇所にはケレンも丁寧に行います。
この手間を惜しまない姿勢も、下地処理にこだわる信頼できる業者を見極めるひとつの基準になります。
外壁塗装の高圧洗浄にかかる費用の目安
高圧洗浄にかかる費用は、施工面積に応じた㎡単価で計算されるのが一般的です。費用の目安は、次のとおりです。
• 1㎡あたりの単価:100〜300円程度
• 30坪ほどの住宅:総額1万2,000〜4万5,000円程度
金額に幅があるのは、外壁の汚れ具合や使用する工法、建物の形状によって作業量が変わるためです。
単価には、洗浄機の使用料や作業員の人件費、養生にかかる資材費などが含まれているのが一般的です。見積書で「高圧洗浄」の項目が単価×面積の形で明記されているかどうかも、業者の見積りの透明性を見極める材料になります。
このほかに見落とされがちなのが、高圧洗浄で使用する水道料金です。使用する水量や地域の料金体系によって差はありますが、一般的には2,000円程度が目安とされています。神奈川県内で施工する場合も、おおむねこの範囲に収まると考えられます。
正確な金額を知りたい場合は、契約前の見積りの段階で業者にしっかりと確認しておくと安心です。
また、高圧洗浄は水しぶきや音が発生しやすく、近隣への配慮が欠かせない工程でもあります。綾瀬市や海老名市、大和市など神奈川県内を拠点とする地域密着型の業者であれば、地域の住宅事情や近隣との距離感を踏まえたうえで、迅速に対応しやすいという利点があります。
費用の安さだけでなく、こうした対応力も業者選びの大切な判断材料にするとよいでしょう。
外壁塗装で高圧洗浄を行う際の流れ
外壁塗装における高圧洗浄は、いくつかの手順を踏んで進められます。当日の流れをあらかじめ知っておくと、工事期間中の見通しが立てやすくなり、当日になって慌てることも少なくなります。高圧洗浄の作業にかかる時間は、おおむね半日〜1日程度で、天候や外壁の汚れ具合によって前後することもあります。
1:近隣住民へ挨拶に回る
高圧洗浄では水しぶきが周囲に飛び散ることがあるため、作業の前に近隣住民へ挨拶に回るのが一般的です。作業の日程や想定される音、水の飛散の可能性について事前に説明しておくことで、当日になってからのトラブルを未然に防ぎやすくなります。
挨拶を丁寧に行っているかどうかは、業者の姿勢を測るひとつの目安にもなります。挨拶の際に工事全体のスケジュールまで説明してくれる業者であれば、より安心して任せられるでしょう。
2:足場や飛散防止シートを設置する
作業の安全性を確保するため、外壁の周囲に足場を組みます。あわせて、洗浄水や汚れが周囲へ飛び散らないよう、飛散防止シートで建物全体を養生します。この養生が丁寧に行われているかどうかは、水しぶきによる近隣トラブルを防ぐうえでも重要であり、施工品質を見極める重要なポイントのひとつです。
足場を組む際には、隣家との距離や電線の位置なども確認しながら、安全に配慮して作業が進められます。
3:高圧洗浄機を準備する
足場の設置が終わったら、高圧洗浄機の準備を行います。水道からバケツやタンクに水をため、そこから機械で吸い上げて内部で圧縮し、噴射する仕組みになっています。外壁の材質や汚れの状態を確認しながら、水圧や噴射方法を選定します。
この見極めが不十分だと、外壁を傷めたり、逆に汚れが十分に落ちなかったりする原因になります。窓のサッシや換気口など、水が入り込みやすい箇所には、あらかじめテープやシートで養生を行うことも欠かせません。
4:洗浄作業を行い乾燥させる
準備が整ったら、屋根や外壁の洗浄を行います。汚水は上から下へ流れていくため、屋根や上部の外壁から順に洗浄を進めるのが基本です。
洗浄が終わったあとは、下地をしっかりと乾燥させることが重要です。乾燥時間の目安は24〜48時間程度で、この時間を十分に取らないまま塗装工程に進んでしまうと、塗膜の浮きや剥がれなど、施工不良の原因になります。
とくに湿度の高い時期は、乾燥に通常より時間がかかることもあります。乾燥の工程を省く業者には注意が必要です。見積りの説明段階で、乾燥期間についてきちんと触れているかどうかも、確認しておきたいポイントです。
こちらの記事では、外壁塗装工事の主な流れについて解説しています。具体的に外壁塗装工事がどのように行われるかをご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
トラブル防止!外壁の高圧洗浄で注意すべきポイント
高圧洗浄は水を大量に使う作業であるため、事前に知っておくことで防げるトラブルもあります。とくに戸建て住宅が密集するエリアでは、少しの配慮不足が近隣とのトラブルにつながりかねません。工事期間中に協力しておきたいポイントを確認しましょう。
作業中は窓やドアを閉めてカギもかけておく
洗浄中は、窓やサッシのわずかな隙間から水が入り込んでしまうことがあります。作業前には、家じゅうの窓やドアをしっかりと閉め、カギもかけておきましょう。
とくに普段開けっぱなしにしがちな部屋や、2階以上の窓は見落としやすいため、家族全員で分担して確認しておくと安心です。網戸を閉めるだけでは水の侵入を防げないため、必ず窓本体まで閉め切っておくことも忘れないようにしましょう。
洗濯物を干す場合は室内に干す
高圧洗浄では、旧塗膜やコケなどの汚れが混じった水が飛び散るため、屋外に洗濯物を干していると汚れてしまうおそれがあります。
作業当日は、洗濯物を室内に干し、外出する場合も屋外には干さないようにしておくと安心です。ベランダに布団を干す予定がある場合も、同様に見合わせておくとよいでしょう。
屋外の荷物は屋内へ移動させておく
自転車や植木鉢、物干し竿など、屋外に置いてある荷物にも水や汚れが飛び散る可能性があります。作業前に動かせるものは、できるだけ屋内へ移動させておきましょう。
移動が難しい庭木や設備については、事前に業者へ相談し、ビニールシートなどで養生してもらえるかどうかを確認しておくとよいでしょう。敷地内に車を駐車している場合も、汚水が飛び散ることがあるため、可能であれば別の場所へ移動させておくと安心です。
音に敏感な方は耳栓やイヤホンで対策する
高圧洗浄機のエンジン音や、水が外壁に当たる音は、思いのほか大きく響くことがあります。環境省が定める騒音の環境基準では、交通量の多い道路に面する住宅地ではおおむね60dB程度とされており、洗浄音がこれを上回る場面も少なくありません。
とくに在宅で仕事をしている方や小さなお子さまがいるご家庭、昼夜逆転の生活をしている方は、耳栓やイヤホンなどで対策しておくと安心して過ごしやすくなります。
作業時間はおおむね数時間〜半日程度で終わることが多いため、あらかじめ大まかなスケジュールを業者に確認しておくと、心づもりもしやすくなります。
出典:環境省「参考1 騒音に係る環境基準について」(https://www.env.go.jp/air/car/noise/noise_h12/noise_h12-1.html)
作業後は浸水の確認に協力する
念入りに養生をしていても、思わぬ場所から水が入り込んでしまうことがあります。作業後は、窓際や室内の床に水が入っていないか確認し、浸水に気づいた場合はすぐに担当者へ伝えるようにしましょう。
早めに連絡することで、被害の拡大を防ぎやすくなります。請負業者賠償責任保険の適用範囲についても確認しておくと安心です。トラブルが起きた際にすぐ連絡が取れる業者かどうかも、契約前に確認しておきたいポイントです。
こちらの記事では、外壁塗装でありがちなトラブル例について解説しています。
トラブルの予防策と対処法や信頼できる業者の見極め方も取り上げているため、ぜひあわせて外壁塗装でありがちなトラブル例丨予防策と対処法、発生時の相談先を解説
をあわせてご覧ください。
外壁塗装の高圧洗浄に関するQ&A
ここまでの内容に加えて、読者からよく寄せられる質問にお答えします。
作業当日は家にいないといけない?
高圧洗浄の作業中は、基本的には外出していてもかまいません。担当者が窓の施錠状況まですべて確認できるわけではないため、初回の洗浄前には、窓の閉め忘れがないか、家じゅうを確認しておくことをおすすめします。
仕事や用事で立ち会いが難しい場合も、事前に業者へその旨を伝えておけば、多くのケースで問題なく作業を進めてもらえます。敷地内への立ち入りなどで鍵の受け渡しが必要な場合は、事前に方法を打ち合わせておくと安心です。
雨の日でも高圧洗浄はできる?
小雨程度であれば、作業自体は可能です。むしろ、雨によって汚れが湿り、洗浄しやすくなることもあります。ただし、強風をともなう悪天候や、豪雨で足場の安全が確保できない場合は、作業の安全性や仕上がりを考慮して、日程を延期することがあります。
天候による延期の可能性についても、契約前に確認しておくと安心です。延期になった場合の連絡方法や、次の作業日程の決め方もあわせて聞いておくと、スケジュールが立てやすくなります。
高圧洗浄の終了後、いつから洗濯物を外干しできる?
高圧洗浄が終わったあとも、外壁や周辺に水分が残っている間は、洗濯物を外に干すのは控えたほうがよいでしょう。
また、高圧洗浄後は養生や塗装などの作業が続くため、外干しを再開できる時期は工事の進み方によって異なります。作業日の天候や湿度にも左右されるため、担当者に外干しを再開してよいタイミングを確認すると安心です。
とくに、冬場や梅雨の時期は乾燥に時間がかかることもあるため、自己判断で再開せず、業者の案内に従いましょう。
まとめ
外壁塗装における高圧洗浄は、見た目をきれいにするだけでなく、塗料の密着性を高め、塗装を長持ちさせるために欠かせない工程です。旧塗膜や汚れを洗い流し、必要な箇所にはケレンも組み合わせる丁寧な下地処理が、仕上がりと耐久性を大きく左右します。
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