ガルバリウム鋼板とはどんな素材?                           メリット・デメリットや実際の使用例

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家を建てる場合やリフォームをする際、ガルバリウム鋼板を使用することでさまざまなメリットが得られます。本記事では耐久性や耐震性、メンテナンスのしやすさなどについて解説します。外壁や屋根に用いる建材に悩んでいる方は、ぜひご覧ください。 新しく家を建てる際やリフォームを検討している場合、外壁や屋根の素材に悩む方も少なくないでしょう。素材にはさまざまな種類があり、特徴も異なるため、どの素材が適しているのか判断が難しい場合もあります。 現在、多くの建物で使用されている建材に、ガルバリウム鋼板と呼ばれるものがあります。ほかの建材にはないデザイン性や、機能性を備えている点が魅力です。 今回は、ガルバリウム鋼板のメリットやデメリット、実際の使用例について解説します。本記事を読むことで、ガルバリウム鋼板の特徴が把握できるので、ぜひご覧ください。

 

ガルバリウム鋼板とは

ガルバリウム鋼板とは、1972年にアメリカのベスレヘムスチール社で開発された金属素材です。金属鋼板をアルミニウム・亜鉛・シリコンでメッキを施したもので、JIS規格においては「55%アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板」と呼ばれます。 ガルバリウム鋼板の中心部は鉄(鋼板)となっており、厚みは0.35〜0.8mm程度です。鋼板がガルバリウムで覆われていることから「ガルバリウム鋼板」と言われています。 アルミニウムが持つ耐久性と耐熱性のほかに、亜鉛のガルバニックアクション(犠牲防食作用)を持ち合わせています。そのため、環境によっては亜鉛鉄板の約3〜6倍もの耐久性が期待できる鋼板です。

ガルバリウムとガルバリウム鋼板の違い

ガルバリウムとは、亜鉛とアルミ、シリコンを組み合わせて作られた合金を指し、ガルバリウムにメッキ加工を施した鉄(鋼材)がガルバリウム鋼板です。 ガルバリウムが使用される前は、防食作用を持つ亜鉛にメッキを施した金属建材である「トタン」が一般的でした。 しかし、トタンは時間が経過するにつれて亜鉛が溶け出し、防食作用が落ちるといった欠点がありました。 この欠点を補うべく開発されたのが、ガルバリウムです。ガルバリウムの素材であるアルミには、亜鉛が溶けたことで発生する穴を補修する「保護作用」を持っています。そのため、亜鉛の防食作用とあわせて「自己修復作用」を持ち、耐久性の向上につながりました。 ガルバリウム鋼板の誕生以降は、トタンからの移行が進み、現在では多くの家屋に使用される建材となっています。

断熱材一体型ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板には、断熱材一体型と、断熱材が施されていない鋼板の2種類があります。断熱材一体型とは、ガルバリウム鋼板の裏側に断熱材が貼り付けられているタイプで、断熱性はもちろん遮音性にも優れた性能を持つ建材です。 何も施されていない鋼板と比較しても30〜40万円程度コストが上がるものの、長期間家に住むことを考えた場合のメリットは大きいです。 断熱性と遮音性を持ち合わせているため、1年中快適に過ごせる家づくりに有効といえるでしょう。

ガルバリウム鋼板

ここでは、ガルバリウム鋼板のメリットとデメリットを紹介します。

メリット

ガルバリウム鋼板のメリットには、以下のようなものがあります。

 耐久性に優れている
 遮音性がある
 耐震性が期待できる
 防汚性がありメンテナンスしやすい
 熱反射性が大きい
 断熱材一体型なら断熱効果もある
 軽く作業性にも優れている
 地球環境に優しい
 スタイリッシュな外観になる

ガルバリウム鋼板を使用した建築やリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

耐久性に優れている

ガルバリウム鋼板は、トタンや窯業系サイディングと比較しても耐用年数が高いため、外壁材としても長持ちします。ガルバリウム鋼板の耐用年数は、メーカーにもよりますが約25〜35年です。 この数字は、万が一の事態が起きた際にメーカーが責任を問われるため、各社は耐用年数を低く提示するケースが多いためです。定期的なメンテナンスをしっかり行うことで、ガルバリウム鋼板の耐用年数は、40年以上に伸びる場合もあります。 しかし、どのような建材であっても、環境や施工方法によって耐久性は低下するおそれがあることを忘れてはなりません。

遮音性がある

断熱材一体型のガルバリウム鋼板の場合、遮音性に優れています。日常生活を快適に過ごすためには、騒音のレベルを45デシベル以下に抑えることが理想です。 たとえば雨音は70デシベルとなっており、生活するうえでは気になるレベルです。しかし、断熱材一体型のガルバリウム鋼板を使用すると、31デシベルまで低下し、雨音が家の中まで響く心配がなくなります。 就寝時はとくに雨音が気になりやすくなるので、断熱材一体型を使用すると、快適な睡眠が手に入るでしょう。

耐震性が期待できる

ガルバリウム鋼板は、非常に薄い板で出来ていながらも軽くて丈夫なため、耐震性に優れている素材です。建材が重くなると建物への負荷が強くなってしまい、地震が発生した際の揺れが大きくなります。 外壁にガルバリウム鋼板を使用した場合の重さは、モルタル外壁の10分の1、窯業外壁の4分の1程度となるため、建物の負荷が軽減できます。 ガルバリウム鋼板は、カバー工法と呼ばれる屋根や外壁の重ね張りでも用いられるため、リフォームにも適した建材です。

防汚性がありメンテナンスしやすい

ガルバリウム鋼板は金属製であることから、水分や湿気を吸収しません。そのため、汚れがつきにくく、カビや苔が発生しにくい点が特徴のひとつです。 一般的に屋根材として用いられるスレートや、外壁に使われるモルタルなどは、水を吸ってしまい劣化が進むことで、カビや苔が発生しやすくなります。 ガルバリウム鋼板は金属製ではあるものの、アルミも含まれているのでサビにも強く、定期的なメンテナンスで見た目の美しさがキープできます。

熱反射性が大きい

ガルバリウム鋼板に含まれているアルミの容積比は80%と多く、表面にスパングルと呼ばれる模様の結晶があるため、熱反射性に優れています。屋根材として使用した場合、室温の上昇を防ぐ効果が期待できるため、夏場の暑い時期でも快適な空間が実現できます。 室温の上昇を防ぐ役割を持っていることから、省エネ効果が期待できる建材として、屋根材や外壁材として十分な効果が期待できるでしょう。

断熱材一体型なら断熱効果もある

断熱材一体型のガルバリウム鋼板を使用した屋根は、ほかの建材と比較して、1時間あたりの熱の通り抜け具合を示す「熱貫流率」が低いため、断熱効果が期待できます。 外壁材の場合も同様で、モルタル外壁や窯業サイディングなどと比較しても、高い断熱効果が期待できる結果となっています。 リフォームにおいてカバー工法と呼ばれる、古い屋根材や外壁材の上にガルバリウム鋼板を貼り付ける施工でも、断熱性の向上が可能です。

軽く作業性にも優れている

ガルバリウム鋼板を使用した屋根材や外壁材は軽量なため、張り替えや補修といった作業も短時間で済む点がメリットです。作業性に優れていることから、人件費や作業に必要なコスト削減も期待できます。 先述した、古い屋根材や外壁材の上にガルバリウム鋼板を貼り付ける、カバー工法も容易にできるため、作業負荷の軽減が可能です。

地球環境に優しい

ガルバリウム鋼板はリサイクル可能な建材であるため、廃棄する際の環境負荷の軽減に貢献できます。また、製造過程でのエネルギー消費量が少ない点においても、環境に配慮した建材と言えます。

スタイリッシュな外観になる

外壁にガルバリウム鋼板を用いることで、シンプルかつスタイリッシュな外観の建物が実現できます。素材の色や形などによって与える印象は変わりますが、ガルバリウム鋼板だからこそ感じられる雰囲気を魅力的に感じる方も多いです。 派手さがない分、周辺環境との調和が取りやすいデザインであるため、将来的に借家や中古住宅とする場合でも需要が高いでしょう。

デメリット

ガルバリウム鋼板のデメリットは、以下のとおりです。

 デザインの幅はやや少ない
 衝撃によってへこみやすい
 環境によってはサビが発生する

デメリットを把握したうえで、ガルバリウム鋼板を利用するか検討をしましょう。

デザインの幅はやや少ない

シンプルでスタイリッシュなデザインが特徴的なガルバリウム鋼板ですが、デザインの種類が少ない点がデメリットです。外壁材として人気のある窯業サイディングと比較しても、バリエーションの幅が狭いため、少しもの足りない印象を受ける方もいるでしょう。 さまざまなデザインから選びたい方にとっては、ガルバリウム鋼板が選択肢から外れる可能性もあります。

衝撃によってへこみやすい

ガルバリウム鋼板は薄い素材であるため、外からの強い衝撃を受けた際にへこんでしまう場合もあります。たとえば、子どもがボール遊びをしているときや、引越しなどで家具や家電を運ぶ際は注意が必要です。 万が一へこんでしまった場合、元に戻すことはできません。そのため、できるだけへこみを避けたい場合は、厚みのあるガルバリウム鋼板を選択するか、別の建材も検討しましょう。

環境によってはサビが発生する

ガルバリウム鋼板は、海沿いのエリアや工場付近など、環境によってサビが発生する可能性があります。サビが発生する原因としては、海からの潮風や排気ガスなどが触れることで、電食を引き起こすためです。 サビが発生しやすい環境に建物を建てる際は、点検やメンテナンスの頻度を増やして対応する必要があるでしょう。

実際の使用例

ここでは、実際にガルバリウム鋼板を使用した工法について解説します。工法には主に、外壁金属サイディングカバーと「屋根カバーの2種類があります。 それぞれ異なる特徴があるので、詳しく見ていきましょう。

外壁金属サイディングカバー

外壁金属サイディングカバーとは、既存の古い外壁に、新品の外壁材を貼り付ける工法です。古い外壁材を撤去する必要がないため、工事の手間が少ないことや、費用の削減につながる点がメリットです。 外壁のみ金属サイディングカバーを行う場合の工事日数は、25坪ほどの建物の場合、2〜3週間ほどかかるケースが一般的です。 屋根工事も同時に行う場合はさらに伸び、約1か月程度を要します。 外壁に歪みが生じている場合、施工前に、不陸調整と呼ばれる外壁の歪みを修正する作業を行ってから、外壁の貼り付けを行います。 外壁金属サイディングカバーでは、塗装工事が必要な箇所が発生する場合もあります。破風板(はふいた)や庇(ひさし)、戸袋などは塗装が必要となり、塗装工が担当します。

 

屋根カバー

屋根カバーとは、古い屋根の上に新しい屋根を被せる工法です。外壁金属サイディングと同様、既存の屋根はそのままの状態で工事ができるため、工事期間と費用の削減が可能です。 工事の手順としては、スレート素材の屋根に防水シートを貼り付け、ガルバリウム鋼板の屋根を取り受けます。防水シートはルーフィングや下葺き材と呼ばれており、雨漏り防止の効果があります。 ガルバリウム鋼板の屋根も防水機能を持ち合わせているため、防水シートと二重の雨漏り防止効果が期待できます。

ガルバリウム鋼板をリフォームに用いる際の注意点

ガルバリウム鋼板を用いてリフォームを行う際の注意点は、以下のとおりです。

 高い技術を持ったリフォーム業者を選ぶ
 保証対象内であるか確認する
 適切なメンテナンス方法を把握する

上記について詳しく解説しますので、リフォームを検討している方は参考にしましょう。

高い技術を持ったリフォーム業者を選ぶ

ガルバリウム鋼板を取り扱う板金業者が少ないことから、技術力の高い業者をしっかり選ぶことが重要です。実際の施工現場では、塗装工の職人やリフォーム業者が施工に携わっているケースもあります。 ガルバリウム鋼板を取り扱っている専門業者であるか見極めるためには、以下の4点を意識しましょう。

 ガルバリウム鋼板を扱える専門の職人が在籍しているか
 瓦工事業者ではなく、板金工事事業者であるか
 数種類のガルバリウム鋼板を提案しているか
 建築板金責任施工士などの専門資格を保有しているか

また、板金業者であるかは、実際に事業所を見てみることでも把握できます。ガルバリウム鋼板を取り扱っている業者は、大型の倉庫を保有していることが一般的です。実際に現場に赴く以外にも、Googleマップを活用して確認してみるとよいでしょう。

保証対象内であるか確認する

ガルバリウム鋼板を取り扱う場合、保証制度が設けられているか確認が必要です。取扱メーカーでは、赤サビや穴あき、塗装の変色などに、10年程度のメーカー保証がついているケースが一般的です。 しかし、10年の保証がついているものの、現場で切断や加工を施した時点で、保証対象外になってしまう場合もあります。工事中に気づいたら保証から外れているといった事態にならないよう、保証範囲の事前確認をしておきましょう。

適切なメンテナンス方法を把握する

ガルバリウム鋼板を用いて屋根や外壁工事が完了したら、後は何もしなくてもよいわけではありません。これまで説明したとおり、ガルバリウム鋼板は経年劣化などの可能性があるため、定期的なメンテナンスが必要です。 必要なメンテナンスとして水洗いや業者による点検があります。 

外壁材の種類は、ガルバリウム鋼板のほかにも多岐にわたります。こちらのコラムでは、外窯業系サイディングやモルタルなどの壁材をわかりやすく説明しています。

あわせて外壁材の種類についてをご覧ください。

まとめ

ガルバリウム鋼板は、1972年にアメリカのベスレヘムスチール社が開発した鋼板で、現在ではトタンに代わって主力の建材となっています。

断熱材一体型の場合、断熱性や遮音性に優れている点も特徴のひとつです。ガリバリウム鋼板の裏側に断熱材を貼り付けることで、外からの騒音や熱を入り込まないようにできるため、1年中快適な空間が構築できます。

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