目次
セメント瓦とは?
セメント瓦は、セメントと砂を主な材料として作られた屋根の一種です。高耐久性塗料で塗装しているため、耐久性が高いことが特徴です。 以下では、セメント瓦の特徴や、セメント瓦と陶器瓦、粘土瓦との違いについて解説します。
セメント瓦の特徴
セメント瓦は、1970〜1980年代の住宅需要増加にともなって多く生産されました。最大の特徴は、高耐久性塗料で塗装されており、耐久年数が長いという点が挙げられます。 耐久年数は30〜40年と長く、セメントが主な材料とされているため、重みがあり風や台風の影響を受けてもズレにくいです。そのため、台風の多い四国・九州地方では、1990年代後半には多くの家で使用されていました。 また、耐久性に優れているうえに、安価でデザインが豊富な点も特徴として挙げられます。しかし、重みがあるがゆえに耐震性に不利な点などから、現在では生産されていません。
陶器瓦との違い
セメント瓦も陶器瓦も屋根瓦として広く使われていますが、素材や特徴が異なります。 セメント瓦はセメントと砂を主な材料としているのに対し、陶器瓦は粘土を主な材料としています。外観も異なり、セメント瓦は表面を高耐久性塗料で塗装しているため、ザラザラとしていますが、陶器瓦は表面に釉薬(ゆうやく・うわぐすり)を塗装しているため、光沢がありツルツルとしています。 耐久年数は、セメント瓦が30〜40年であるのに対し、陶器瓦は40〜50年と長いですが、価格はセメント瓦が安く、陶器瓦は高いです。セメント瓦は、価格が安く製造しやすいという理由からも住宅不足が顕著であった1970〜1980年代に広く普及しました。
粘土瓦との違い
粘土瓦も陶器瓦と同様に、粘土を主な材料としています。そのため、粘土瓦と陶器瓦はほぼ同義語として扱われることもありますが、粘土瓦のなかに陶器瓦という種類が分類されているようなイメージです。 粘土瓦は、粘土を瓦型に形成し高温で焼き上げたもので、焼き上げるまえに表面に釉薬(ゆうやく・うわぐすり)を塗装するものが陶器瓦です。粘土瓦は、粘土そのものの風合いであるのに対し、陶器瓦は塗装するためさまざまな色合いを出せます。 セメント瓦とは風合いがよく似ており、一目では区別がつかないこともあります。見分け方は、角が滑らかであれば粘土瓦で、ザラザラとしているものはセメント瓦とされています。 セメント瓦は安価ですが、耐久性やデザイン性、メンテナンスの手間などから粘土瓦を選ぶことが増えています。
セメント瓦のメリット・デメリット
主なメリットには、耐久性や耐火性が強い・デザインが豊富な点が挙げられます。一方で、衝撃に弱く割れやすい・定期的なリフォームが必要になるといったデメリットもあります。 以下では、メリット・デメリットについて詳しく解説します。メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで選びましょう。
メリット1.耐久性や耐火性が高い
主な材料であるセメントと砂は、耐久性や耐火性に優れています。 材料のセメントと砂が結合し固まる際に緻密な構造が形成されるため、耐久性が高いです。また、セメントは水と反応し固まるうえに一度固まると水に強く、雨の侵食にも耐えられます。 さらに耐火性があるため、万が一火事が発生した際にも燃え広がるスピードを抑えてくれます。 住宅火災は、財産だけでなく命までも奪う可能性があります。コンロを使う際には火元から離れない、ストーブの周りに燃えやすいものを置かないなど日ごろから意識しておくことが大切です。 しかし、ほかの家から出火した火事が燃え移り、自分の家も被害に遭ってしまうもらい火など、自らの意識や努力だけでは防げないこともあります。そのため、住宅は、耐火性に重視した素材を選ぶことも重要な選択肢のひとつです。
メリット2.デザインが豊富にある
耐久性や耐火性だけでなく、デザイン性も高い評価を得ています。セメントと砂を主な材料としているため、さまざまな形状や色合いを表現できるためです。 形状は、平たい形をしたものやS型のものなどがあり、塗装によって赤色、黒色、茶色などさまざまなカラーに仕上げられます。グラデーションやマットな質感なども選択可能なため、和風の家だけでなく洋風の家など、幅広い建築スタイルに最適です。 屋根には、雨や雪、日差しを遮るといった機能的な役割があるのはもちろんのこと、建物全体の印象を大きく変化させる美的要素もあります。住宅の外観をデザインする際には、外壁やドアといった目につきやすい場所を重要視する方が多くいますが、屋根は遠くから見たときに目につきやすく、個性やスタイルを表現するうえでは需要であるといえます。
デメリット1.衝撃に弱く割れやすい
デメリットには、衝撃に弱く割れやすいという点が挙げられます。 主な材料のセメントと砂が結合し固まる際に緻密な構造が形成されるため、耐久性に優れています。その一方で、硬さがあるがゆえにしなりにくく、衝撃に弱いため、台風などで飛来物が当たるとひび割れや破損するおそれがあります。 瓦のひび割れを放置していると、雨が降った際に屋根の内部まで入り込み、雨漏りをすることもあるため、ひび割れが起きた際にはなるべく早く修理・交換を行いましょう。
デメリット2.定期的なメンテナンスが必要になる
耐久性に優れており、耐久年数は30〜40年とされています。しかし、セメント瓦は表面に高耐久性塗料で塗装しているため、塗装は定期的なメンテナンスが必要です。 塗装のメンテナンスの理想は、建築後約10年です。瓦自体には防水性がないため、長持ちさせるためにも10年に1度は塗装し直しましょう。 また、劣化症状が見られる場合には、10年以内であってもメンテナンスが必要です。塗装が剥がれ落ちたままにしていると、劣化が早く進んでしまいます。つまり、メンテナンスをきちんとしておけば、耐久年数どおり30〜40年、またはそれ以上長く使い続けられます。
セメント瓦のリフォーム方法は?
リフォーム方法は「部分修理」「塗装」「葺き替え(ふきかえ)」の3つです。 瓦の状態によって適切なリフォーム方法は異なります。以下では、それぞれのリフォーム方法に関して詳しく解説します。
部分修理
セメント瓦は現在生産されていないため、部分的に葺き替えすることは難しく、部分的に修理する場合には強力な粘着テープやシーリングを使った接着補修となります。 部分修理となる目安は瓦が1〜3枚程度割れている・欠けている状態で、修理にかかる費用の目安は5万円前後です。 軽度の劣化であっても接着補修が難しい場合には、部分的な葺き替えが必要です。ただし、前述のとおり現在は生産されていないため、同じもので部分修理を希望する場合は、施工業者に相談してみましょう。
塗装
割れや欠けが発生していなくても、耐久年数どおりに長く使い続けたい場合は、定期的に行うべきです。また、塗装は経年劣化で色あせるため、見た目を維持するためにも定期的に塗装し直しましょう。 塗装する際には、高圧洗浄機などを使用し、瓦にこびりついた苔や汚れを取り除いてから作業します。割れや欠けを発見した場合には接着補修も行います。 塗装にかかる費用の目安は30〜40万円前後です。ただし、一部のセメント瓦は塗膜の部分にスラリー層と呼ばれる着色顔料で保護されていることがあります。塗装の際にはこのスラリー層を除去する必要があり、大変な工程になるため、除去する必要がある場合には通常時より費用が高額になることもあります。 費用に関して心配な方は、事前にきちんと見積もりを取ってから依頼しましょう。
葺き替え
セメント瓦は1970〜1980年代に広く普及したこともあり、定期的にメンテナンスをして大切に扱ってきた住宅であっても、葺き替えが必要な時期を迎えています。また、重みがある点や衝撃に弱いという点から、地震の多い日本では万が一に備えた対策として葺き替えを選択される家庭も増えています。 セメント瓦は現在生産がされていないため、葺き替えでは金属屋根を選択されることがあります。金属屋根は、その名のとおり金属板を使用した屋根です。主流はガルバリウム鋼板で、近年ではエスジーエル(SGL)鋼板も注目されています。 ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛・シリコンからなるメッキ鋼板で、軽量かつ耐震性に優れています。1平方メートルあたりに掛かる重量が、軽量化瓦が約43キロであるのに対し、ガルバリウムは約5キロです。軽い屋根は、地震時の揺れを軽減してくれるため、重い屋根に比べて、倒壊や損壊のリスクも減らせます。 エスジーエル(SGL)鋼板は、アルミニウム・亜鉛・シリコンからなるガルバリウム鋼板にマグネシウムを添加することで、高い耐食性を持つ比較的新しい素材です。金属屋根の最大のテーマであった錆びにくさを実現しました。また、ガルバリウム鋼板同様に軽量かつ耐震性にも優れています。 葺き替えにかかる費用の目安は、ガルバリウム鋼板で180万円前後、エスジーエル(SGL)鋼板で190万円前後です。 こちらの記事では、ガルバリウム鋼板について詳しく解説しています。メリットやデメリットについても解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。
こちらの記事では、ガルバリウム鋼板について詳しく解説しています。メリットやデメリットについても解説しているため、
ぜひあわせてガルバリウム鋼板とはどんな素材?メリット・デメリットや実際の使用例をご覧ください。
まとめ
セメント瓦は、セメントと砂を主な材料として作られた屋根瓦です。耐久性や耐瓦火性が強い・デザインが豊富といったメリットがある一方で、衝撃に弱く割れやすい・定期的なリフォームが必要になるといったデメリットもあります。 現在は生産がされていないため、葺き替えは難しく、部分修理や塗装などによるメンテナンスが必要です。また、1970〜1980年代に普及したもののため、現在では多くの住宅で葺き替え時期を迎えています。 アイテックは、神奈川県を中心に、外壁・屋根塗装工事から、屋根葺き替え・カバー工法、防水工事など、住宅にまつわるあらゆる工事を行っています。どんな住宅も時間の経過とともにメンテナンスは必要です。 「快適な暮らしをもっと快適に」を企業理念とし、お客様の大切な住宅がもっと住みやすくなるように全力でサポートいたします。セメント瓦や屋根についての相談も、お気軽にお問い合わせください。
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