外壁塗装はDIYできる?準備するものや手順・足場なしでの方法を解説

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外壁塗装のDIYは費用を抑えられる一方、高所作業の危険や仕上がりの品質リスクもあります。必要な道具・塗料の選び方から基本的な手順まで、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説します。

「外壁の色があせてきた気がする」「業者に頼むと高いし、自分でできないかな」そう思って調べはじめた方も多いのではないでしょうか。外壁塗装は、やり方次第でDIYに挑戦することができます。

しかし、準備不足や手順の誤りが原因で、かえって費用がかさんだり、家の寿命を縮めてしまうケースも少なくありません。

本記事では、DIYのメリット・デメリットをはじめ、必要な道具や塗料の種類、具体的な手順まで詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてください。

外壁塗装はDIYできる?メリット・デメリットを比較

結論からいうと、外壁塗装をDIYすることは可能です。ただし「可能」と「適切」は別の話です。外壁塗装には、高所での作業や専門的な判断が随所に求められるため、素人が全面的に行うにはかなりのリスクが伴います。

まずはDIYのメリットとデメリットをしっかり把握することが、判断の第一歩です。

外壁塗装をDIYで行うメリット

まずはDIYで外壁塗装を行うことのメリットを整理します。主に「コスト面」と「スケジュール面」の2点が挙げられます。

費用を抑えられる

外壁塗装を業者に依頼した場合、30坪程度の一般的な住宅では塗料や足場代なども含めて60〜120万円ほどかかるのが一般的です。

一方、DIYであれば人件費がかからない分、材料費と道具代のみで済むため、費用を大幅に抑えられます。

ただし、塗料の種類や塗装面積によって総額は大きく変わります。たとえばシリコン塗料で30坪(外壁面積120㎡程度)を塗装する場合、塗料代だけで30万円以上になることもあります。

「安い」という印象だけで始めると思わぬ出費につながることもあるため、事前の見積もりをしっかり行いましょう。

好きなタイミングで作業できる

業者に依頼すると、スケジュールの調整や立ち合いの手間が発生します。DIYであれば、週末や休日を使って自分のペースで進められるのが魅力です。

「少しずつ、気が向いたときに」という進め方もできるため、日常生活に支障をきたしにくいという側面もあります。

ただし後述するように、作業工程には乾燥時間が必要なものも多く、実際には数か月単位のプロジェクトになることを念頭に置いておきましょう。

外壁塗装をDIYで行うデメリット

一方で、DIYにはメリットを上回るほどのデメリットも存在します。取り組む前に必ず把握しておきましょう。

危険がともなう

外壁塗装の最大のリスクは、なんといっても高所作業による転落です。

厚生労働省の労働災害統計(令和5年)によると、墜落・転落は死傷災害の原因として最も件数が多いカテゴリのひとつであり、プロの職人でさえ事故が起きる危険な作業です。

外壁の全面塗装では、2階部分や軒下など高さ2m以上での作業が必須となります。労働安全衛生規則では、高さ2m以上での作業には足場の設置義務が定められており、はしごや脚立だけでの全面作業は安全面から推奨されません。

「ちょっとだけ届きそう」という油断が、取り返しのつかない事故につながることがあります。

出典:厚生労働省「令和5年 労働災害発生状況」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/b23-16.pdf)
出典:e-GOV法令検索「労働安全衛生規則第五百十八条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032#Mp-Pa_2-Ch_9-Se_1)

損傷具合によっては自力で対処できないこともある

外壁の劣化は、表面のチョーキング(白い粉が吹く現象)や塗膜の剥がれといった「見える劣化」だけではありません。

外壁の内部に水が入り込んでいたり、構造クラック(建物の構造に影響するひび割れ)が進行していたりする場合、塗装だけでは対処できないことがあります。

こうした劣化の深刻度を見極めるには、専門的な知識と経験が必要です。素人目では「少しひびが入っているだけ」と判断した箇所が、実は雨漏りの原因になっていたというケースも少なくありません。

外壁の状態を正確に判断できないまま塗装してしまうと、不具合をそのまま塗りつぶして隠してしまうことになり、後々大きな修繕費用が発生するリスクがあります。

かえって費用が高くなる可能性がある

DIYは「安くできる」というイメージがありますが、失敗した場合には話が変わります。塗りムラや剥がれが起きた場合、そのまま放置すれば数年も経たずに再塗装が必要になります。

さらに、下地処理の誤りや塗料の選定ミスによって雨漏りが発生し、躯体(建物の骨格)が腐食すれば、外壁塗装だけでは済まない大規模な補修工事が必要になることもあります。

「最初からプロに頼んでおけばよかった」という事例は決して珍しくありません。
DIYにかかったコストと労力、そして失敗による追加費用を合算すると、最終的に業者依頼より高くついてしまう可能性があることを、しっかり頭に入れておきましょう。

近隣トラブルになるリスクがある

外壁塗装では、塗料の飛散が避けられない場面があります。
風が強い日に養生(汚したくない場所を保護する作業)が不十分だと、隣家の車や植栽、洗濯物に塗料がついてしまうことがあります。
また、高圧洗浄機を使う際の騒音も、近隣の方にとっては大きなストレスになります。

DIYでは、こうした細かな配慮まで自分で行う必要があり、トラブルになった場合は個人として対応しなければなりません。
プロの業者であれば事前に近隣への挨拶回りを行い、養生も徹底して施工します。

外壁塗装をDIYするのに必要な道具

外壁塗装のDIYには、塗料以外にもさまざまな道具が必要です。一通り揃えると数万〜10万円以上の出費になることも多く、道具のコストも計算に入れておく必要があります。

主に必要な道具は以下のとおりです。

● 高圧洗浄機:外壁の汚れやカビ、コケを落とすために使用します。家庭用でも使えますが、プロが使う業務用と比べると水圧が大幅に弱く、頑固な汚れを落としきれないことがあります。洗浄が不十分だと塗料が密着せず、早期剥がれの原因になります。

● ローラーバケツ・ローラー:広い外壁面を均一に塗るための基本道具です。毛の長さが異なるローラーを使い分けることで、凹凸のある外壁にも対応できます。

● 刷毛(はけ):ローラーが届きにくい細かい部分や角、窓枠まわりなどに使用します。細かな刷毛(目地刷毛)も用意しておくと便利です。

● 皮スキ(スクレーパー):劣化した古い塗膜を削り落とすための道具です。これを怠ると新しい塗料がうまく密着しません。

● マスカー・マスキングテープ:塗装しない窓や玄関ドア、植木などを保護するための養生材です。ビニールシートが伸縮するタイプのものは作業効率が高くなります。

● コーキング材・コーキングガン:外壁のひび割れや目地の補修に使います。後述しますが、塗料との相性に注意が必要です。

●サンドペーパー・ケレン工具:さびや古い塗膜を削り落とすために使用します。鉄部分のさびを除去する際には欠かせません。

● 安全帯・ヘルメット:高所作業を行う際の安全装備として必須です。はしごや脚立を使う場面でも、転落防止のために必ず着用してください。

これだけの道具を揃えるだけで、相当な準備期間と費用がかかることがわかります。「道具を揃えたら思ったよりお金がかかった」という声は多く、道具代もしっかりとコストに含めて検討することが大切です。

外壁塗装のDIYで使う塗料

外壁塗装で使う塗料は、大きく「下塗り用」と「上塗り用」に分かれます。
どちらも外壁材の種類や劣化状況に合わせて適切なものを選ぶ必要があり、選定を誤ると剥がれや水ぶくれ、早期劣化の原因になります。

下塗り用の塗料

下塗りは、外壁と上塗り塗料をしっかりつなぐ「接着剤」のような役割を担います。
この工程を省いたり適切な塗料を使わなかったりすると、どれだけよい上塗り塗料を使っても、すぐに剥がれてしまいます。

シーラー

シーラーは、外壁面と塗料の密着性を高めるために使用します。水のようにサラサラとした液体で扱いやすく、DIYにも比較的向いています。

水性タイプと油性タイプがあり、外壁の劣化が軽微な場合は水性シーラー、劣化が進んでいる場合は吸収されにくい油性シーラーが向いています。

ひび割れのほとんどない外壁には水性タイプが使いやすいですが、劣化が進んだ箇所に水性を塗ると、どんどん吸収されて効果が薄れてしまうため注意が必要です。

フィラー

フィラーは、外壁の凹凸を埋めるために使う厚付け用の下塗り材です。とくに、ひび割れが生じやすいモルタル外壁に対して使用されます。

粘性が高く扱いが難しいため、DIYでの使用は上級者向けです。塗り方が不均一になると仕上がりに影響するため、初めての方はシーラーの使用をおすすめします。

また、後述しますが、フィラーの上に塗る上塗り塗料との相性も重要です。

上塗り用の塗料

上塗り塗料は、外壁の美観と耐久性を左右する最も重要な塗料です。
耐用年数と費用のバランスを考えながら選びましょう。

アクリル塗料

アクリル塗料は価格が安く、カラーバリエーションも豊富です。1㎡あたり1,000〜1,800円程度で購入でき、コストを最優先にしたい場合に選ばれます。

ただし紫外線に弱く、耐用年数は3〜8年程度と短めです。頻繁に塗り替えが必要になることを考えると、長期的なコストパフォーマンスはあまりよくない場合もあります。

ウレタン塗料

ウレタン塗料は弾性や伸縮性に優れており、外壁のひび割れに追随する性質があります。

価格は1㎡あたり1,700〜2,500円程度です。耐用年数は5〜10年ですが、やはり紫外線への耐性は高くありません。柔軟性を求める場合に選ばれることが多い塗料です。

シリコン塗料

現在、外壁塗装でもっともよく使われているのがシリコン塗料です。

耐用年数は10〜15年程度と長く、価格と耐久性のバランスがとれています。価格は1㎡あたり2,500〜3,500円程度です。汚れがつきにくいセルフクリーニング効果のある製品もあり、メンテナンスの手間が少ない点も魅力です。

ただし、シリコン系のコーキング材を使った場合、上塗りのシリコン塗料が密着しにくくなるという落とし穴があります。

コーキング材の選定を誤ると、せっかく塗った塗料がはじかれることもあるため、十分な注意が必要です。

フッ素塗料

フッ素塗料は耐久性が高く、耐用年数は12〜20年程度が目安です。

価格は1㎡あたり3,500〜4,500円程度と高めですが、長い目で見ると塗り替え回数が減るためコストパフォーマンスに優れています。

光沢感が出やすく高級感のある仕上がりになりますが、DIYでの施工難度は比較的高く、塗り方によってはムラが目立つことがあります。

無機塗料

無機塗料は、現在流通している外壁塗料のなかで最も耐久性が高く、耐用年数は20〜25年以上とされています。価格は1㎡あたり5,000円以上になることが多く、初期費用は高めです。

紫外線や熱、雨水に対して非常に強く、建物を長期間保護する力があります。

ただし、素材の特性上、施工時の温度管理や乾燥時間の厳守が求められるなど、専門的な技術が必要な塗料です。DIYには向いておらず、プロへの依頼が前提となります。

足場なしで外壁塗装のDIYは可能?

「足場代を節約するために、足場なしでやりたい」という方も多いでしょう。しかし、安全面と施工品質の両観点から考えると、足場なしでの全面塗装はおすすめできません。

労働安全衛生規則では、高さ2m以上での作業には足場の設置が義務付けられています。これはプロの職人に向けた規定ですが、素人であればなおさら安全への配慮が必要です。

2階建て住宅の全面塗装では、実質的に足場なしでの作業は不可能といえます。

出典:e-GOV法令検索「労働安全衛生規則第五百十八条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032#Mp-Pa_2-Ch_9-Se_1)

足場の設置のみを業者に依頼することも可能ではある

足場の組み立てだけを業者に依頼し、塗装作業は自分で行うという方法もあります。足場設置のみの費用は一般的に15〜30万円程度です。

ただし、足場代だけでこれだけの費用がかかるとなると、DIYの最大のメリットである「コスト削減」の効果がかなり薄れてしまいます。

業者への依頼と比べてどれだけ安くなるのかを、あらかじめしっかりと計算しておくことが大切です。

こちらの記事では、足場を組む場合の費用相場について解説しています。
簡単な計算方法やよい業者の選び方も取り上げているため、ぜひあわせて足場を組む場合の費用相場は?信頼できる業者の選び方を解説をあわせてご覧ください。

 

一般の方が足場なしでDIY外壁塗装をする方法

1階部分や手の届く範囲の限定的な補修など、足場なしでできる作業もあります。ただし、あくまで範囲を限定した部分補修に限られます。

長柄ローラーを使う

柄を延長できる長柄ローラーを使うことで、地面に立ったまま少し高い位置まで塗装することができます。脚立を使わずに済む場面では有効な方法です。

ただし、力加減が難しく塗りムラが出やすいという欠点があります。ローラーを壁に当てる角度が安定しないため、均一に塗膜を作ることが難しく、仕上がりに差が出やすい点は覚悟しておきましょう。

はしご・脚立を使う

はしごや脚立を使えば、少し高い位置の塗装も可能です。ただし、あくまで1階の低い場所や、局所的な部分補修に限定して使用すべきです。

はしごは不安定で、移動のたびに設置し直す手間がかかります。高いところに長時間いることによる体の疲労も大きく、疲れた状態での高所作業は非常に危険です。

2階以上の全面塗装には、はしご・脚立での作業はおすすめできません。

外壁塗装をDIYする際の基本的な手順

外壁塗装のDIYを行う場合、以下の工程を順序通りに進める必要があります。

各工程には適切な乾燥時間や判断が必要なため、全工程を通すと数週間〜数か月かかることを念頭に置いてください。

1:足場を設置する

安全に作業を進めるため、まずは足場を設置します。2階建ての全面塗装であれば、業者に足場設置を依頼することを強くおすすめします。

1階のみの部分補修の場合は、安定した脚立やはしごを用意し、必ず安全帯やヘルメットを着用したうえで作業に臨んでください。足場は揺れや滑りがないかを必ず事前確認し、不安定な状態では絶対に作業しないことが鉄則です。

2:外壁を洗浄する

塗装の前には、外壁に付着したほこり・カビ・コケ・古い塗膜などをしっかり落とす必要があります。汚れが残ったまま塗装すると、塗料が密着せずに短期間で剥がれてしまう原因になります。

高圧洗浄機を使って全体を洗い流すのが基本です。カビやコケがひどい場合は中性洗剤を使ってブラシでこすり落とします。

洗浄後はしっかり乾燥させてから次の工程へ進みましょう。乾燥が不十分なまま塗装すると、塗膜の膨れや剥がれにつながります。

 

3:下地処理をする

下地処理は、外壁塗装において最も重要な工程のひとつです。ここを怠ると、どれだけよい塗料を使っても長持ちしません。

ひび割れ(クラック)がある場合はコーキング材で補修します。このとき注意したいのが、コーキング材の選び方です。

シリコン系のコーキング材は塗料をはじいてしまう性質があるため、その上に塗装すると塗料が密着しません。必ずウレタン系や変成シリコン系など、上から塗装できるタイプを選ぶことが重要です。

また、古い塗膜が浮いている箇所は皮スキで除去し、鉄部分にさびが出ている場合はケレン作業(さびや汚れを削り落とす作業)を行います。

この工程を丁寧に行うかどうかが、仕上がりと耐久性を大きく左右します。

4:養生を行う

養生とは、塗料が付いてはいけない箇所をビニールシートやマスキングテープで保護する作業です。窓ガラス・サッシ・玄関ドア・エアコンの室外機・植木・駐車中の車などをしっかり覆います。

養生が甘いと、塗料の飛散で近隣トラブルを引き起こしたり、大切な設備に塗料がついて落とせなくなったりすることがあります。手間を惜しまず、丁寧に行いましょう。

5:下塗りを行う

外壁全体にシーラーやフィラーなどの下塗り材を塗布します。下塗りは、上塗り塗料を密着させるための重要な土台となるため、塗り残しのないよう均一に塗ることが大切です。

塗布後は塗料のラベルに記載されている乾燥時間をきちんと守ってください。
不十分な乾燥のまま次の工程へ進むと、塗膜が正しく形成されません。

6:中塗り・上塗りを行う

上塗り塗料を中塗り・上塗りの2回に分けて塗布します。2回塗ることで塗膜に厚みができ、外壁の保護機能と耐久性が高まります。

DIYの場合は塗り残しも防げるため、必ず2回塗りを実施しましょう。

塗料の垂れを防ぐため上から下へ、左から右へと一定の方向に進めるのが基本です。ローラーはWを描くようにジグザグに塗った後、縦横に転がして仕上げると均一な塗膜ができます。

中塗り終了後も、上塗りに入る前に十分な乾燥時間をとることが必須です。

7:養生を取り足場を解体する

最後に養生を取り除いて仕上がりを確認します。

養生を剥がすタイミングは、塗料が完全に乾ききる前が理想です。乾いてから剥がすと、塗膜が一緒に剥がれてしまうことがあります。

養生を外した後は、塗り残しやはみ出しがないかを全体的にチェックしましょう。問題がなければ、足場の解体で完了です。

まとめ

外壁塗装のDIYは、1階部分の部分補修や軽微な傷のタッチアップには向いています。しかし、2階建て住宅の全面塗装となると、高所作業の危険・下地処理の難しさ・塗料の選定ミスなど、多くのリスクが重なります。

費用を抑えたいという気持ちは当然ですが、失敗すれば修繕コストがかさみ、結果的に家の寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。

「今の外壁がDIYで対応できる状態なのか、それともプロの手が必要な状態なのか」その判断だけでも、プロに確認してもらうことをおすすめします。

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